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「エイリアン・トリップ vol.07」 公認DIGGER 湯川カナと、ネパール出身の山岳ガイド・シェルパさんによる須磨区・須磨浦レポート・前編です!

湯川カナ

日本, 兵庫県神戸市須磨区

オラ! 神戸エージェントのカナより、須磨区レポートです。

えっと、須磨ってたしか、陸の果ての辺境ですよね?
京(みやこ)の寵児だった光源氏がスキャンダルおこして島流しされてきて、魚を手にした漁師がお屋敷の庭まで入って来るような異文化に驚いて、なんて淋しいところだとさめざめ泣いていたら、涙が枕で浮かび上がった……のが須磨。じゃなかったかしら?
たしか、「みやこ」を意味する畿内の「隅っこ」(すまっこ)=「すま」が語源、っていう。

みやこの端っこ・須磨の、きっとアドベンチャーなツアー。
私みたいな都会っ子もやしっ子の金髪エージェントには、ちょっと心細いわ。
そういう不安を察してか、本日の同行調査員は「シェルパさんです」と連絡が入りました。

おお! シェルパといえば、山登りのガイドさんのことだよね!
アドベンチャーツアーを一緒に行ってくれるって、これ以上に心強いことないわ~♪

そして約束通り、三宮パイ山に、彼は現れたのでした。
「はじめまして! カナです。よろしくね!」
私が手を差し出すと、彼も日焼けした精悍な顔をほころばせながら、手を差し出しました。
「はじめまして。ラクパ・シェルパといいます」
シェルパさんって……名字が「シェルパ」かい!!

と、ともかく、「すまっこ」の隅っこ須磨へ、しゅっぱーつ!




神戸市立須磨海づり公園

さすが、隅っこ。
阪急の神戸三宮駅と思っているところから、またもや例の「ちっとも速くない」高速神戸線に乗り、たった7分後に新開地でもう終点だと降ろされ、次に来た特急の山陽姫路行きに乗り込んだもののこれは停まらないからと運転手さんに教えられて山陽須磨で乗り換え、目的地の須磨浦公園へ。
なんか、遠いな~。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△全体として、高度成長期のデパートの屋上の遊園地テイストな駅前。パンダの乗り物とかないのがふしぎ~


そして改札を出たらそこは、オールウェイズ三丁目な昭和40年代的、ひどく牧歌的な雰囲気が漂っているのでした。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△ちゃんとサングラスをしている男子ふたりと、どうにも場違い感がはなはだしい私。サングラスの問題か?


それにしても、目の前一面、海!
その、ひねもすのたりと輝く海を背に私たちを待ち受けていたのが、「ザ・釣り人」といういでたちの、山端さん。
ほら、名前まで、山の端っこ。
須磨の「辺境」感、半端ね~!!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

磯釣り会の会長もされている山端さんと一緒に向かったのは、神戸市立須磨海づり公園
海の中に突き出すかたちでのびる足場の好きなところから、魚を釣ることができるそうです。

国﨑園長さんのご案内で、園内をぐるり。
海の中の道をまっすぐすすむと、展望レストスペース(おべんと持ち込みOK)がある管理棟。
そのさらに先、突端まで行くと、岸辺からもう500メートル地点。
ふだんなら小舟を浮かべないと行けないような場所まで歩いて行って、通りがかったお魚を釣り上げちゃえるのが、この海づり公園の魅力なんだそう。
居合わせた釣り人たちが、大きなアジに、サワラまで、釣果を見せてくださいました。へー!

よっしゃ、我々も!!
狙うは……小アジ。
山端名人が、ど素人の私たち向けに本日用意していただいた仕掛けは、いちばん下にエサを入れるカゴがついていて、そこまでにいくつか針がついている、初心者用の「サビキ」。
仕掛けとエサまでセットになった「貸竿セット」もあるんですが、今日は、山端さんの竿をお借りすることに。
さあ、釣りますよ!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△国﨑園長と話しているあいだに、山端さんが私の太めの腰に救命胴衣をつけてくださってます。これも釣り人マナー。

……釣りますよ、と勝手に意気込んでも、小アジが「よっしゃ、釣られますよ!」と行ってくれるわけもなく。
遠くに明石海峡大橋をながめつつ、海に釣り糸をたらして、シェルパさんとぽちぽちお話。

ネパール生まれのシェルパさん。はじめて海を見たのは25歳のとき、日本で。
関西空港へ降下する飛行機の窓から下を見て、「なんて大きな湖だ」と思ったのだそう。
それから、まさにここ須磨の海へ連れてこられて。
わーい! と飛び込んでみて、びっくり。
「しょっぱ!!!!」
し、知らなかったんだね!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△ちょっとしたモーゼです。あるいは天童よしみね。♪海が割れるのよ~


そして今年になって、シェルパさんのお父さんが、72歳で初来日。
同じく関空上空からはじめて海を見て、「おい! わしらの下に、空が見えるぞ!!」と驚いていたのだって。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△けっこう怖いかんじに足元が金網状なのは、台風時の荒波をやりすごすためだとか。

……と、シェルパにヒット!
ひょひょい、さくっ、と釣り上げました。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△シェルパ、ひょいっと釣り上げました。山の男に、負けた!


山端達人の教え。
「魚釣りはいろいろあるけど、どれも基本は同じ。まず第一に、魚がエサを食べるようにするでしょ。第二に、かかったら、魚が疲れるのを待つ。これだけ。あ、ただ、アジは口が柔らかいから、それだけ気をつけて」
ハーイ!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△ニコニコと教え上手な山端さん、その手袋が格好良い!!


大会や教室、環境保護運動なども精力的にこなしながら、釣りの普及につとめる山端達人。
本業はぜんぜん違う、まちのひと。
でも、やっぱり裾野がひろがらないと釣り文化自体がなくなってしまうという危機感と、なにより、小さな頃から釣りが好きで、いまでも大好きで、この楽しさをやっぱり多くのひとに感じてほしいという思いで、こうやって釣りの指導をしているそう。



お! 私にも、ピクピクっとな。
えーっと、とりあえず、リール巻くー! 魚、海から出てくるー! 手元に近づけるー! あーん♪ まちがえた!!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△カナにも、心優しいアジがかかってくれました! あー、うまそ! あーん♪


その後、シェルパは鯛もヒット!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△♪シェルパは鯛も釣る~。ヘイヘイホ~♪ 大成功~♪


しばらくお魚が遊んでくれないカナは、国﨑園長とお話。
園長の名刺は、何種類もの、手作りのフライ(毛針)。
あれ? フライフィッシングって川でやるものだから、わりと海釣りとかバカにしてたりするんじゃないですか? ルアーのひとと、フライのひとも、仲悪い印象が……。

「そんなことないですよ。どれも、要するに、『魚の口に針を入れて釣る』っていうのは同じですから」

んー、それってたとえば、ナンパするのが目的であれば、方法は、合コンでもうっかりハンカチ落としたふりでも、構わない、ということですね!
「え……。そ、そうですね!」

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△国﨑さんは虫に似せた偽物のフライで女子……もとい魚を釣るのが趣味。


そんなこんなで、タイムアップ。
小アジ2匹、小鯛2匹。
「逃がしちゃいましょっか」と小鯛を海に返し、小アジに手を掛けた山端達人を、カナが「リリースとか、意味わかりません! アジのタタキはマイベスト刺身なんです。食べましょう!!」と全力で阻止。
まな板のところに運ぶや、「きゃーん、ごめんねー♪」と可愛く叫びながら、ビチビチしている小アジをしっかりホールド。出刃包丁で迷いなく頭をバサッ。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△スペインも日本と同じくらい魚が豊富。現地でバッテラつくりたい一心で魚をおろすようになったそうです。


鼻歌交じりで、三枚におろしていきます。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△ままかり並みの小ささですが、三枚おろしの、でっきあがりー♪


海水で洗って、あーん♪

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△いっただっきまーす!!


えっ、シェルパも、生で食べれるの?
「はい、日本来てから好きになりました。刺身、よく食べるんですが、これがいままでのなかでいちばん美味しかった!」
おー!
そして、私も、同じ感想。すっげー、うっめー!!!

ん、最後の一枚だ!
食べるの、どっちだー!!
勢いにおされたシェルパが断念。ヌハハハハハ。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△最後の一枚、争奪戦!


「……ここは魚をさばいて帰れるようになっているんですけど、食べて帰ったひとは、さすがに初めてかもしれないです……」
心優しい国崎園長を、驚かせてしまいました。


「連れて良かったですねー」とニコニコ顔の山端達人。
それでももちろん、大物狙いのときなど、釣れないときも、もちろんある。そういうとき、どうするんですか?
「潮が悪いのかなー、とか、天気が悪いのかなー、とか、仕掛けが悪いのかなー、とか、いろいろ可能性考えて試しますね。ただ、『自分が悪いのかな』ってことだけは、絶対考えない(笑)」
な・る・ほ・ど!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

女の子に声をかけるように魚を釣り、釣れなくても自分を責めない。
いやいや、そういうことではないけれど、それが自然とつきあうときの心構えかもしれないです。
山端達人、国崎園長、おふたりとも、「魚どもをなんとかしてやろう!」みたいな変な力こぶはまったくなく、魚とのんびり対話し、そうやって自然のなかにいる時間を楽しんでいるようでした。

素敵な海の男たち、ありがとうございましたー!!!

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△心優しく爽やかな、そしてカナが繰り出す「常にナンパにたとえる釣り話」にもずっと笑顔の、海のナイスガイたちでした



須磨浦山上遊園/[%http://diiig.net/lw/14143/%]&カーレーター

駅前に戻り、さっき降りてきた山陽電鉄の改札のお隣にある階段を登っていきます。
干したタコみたいな、四角い乗り物が待っていました。
ロープウェー! うぇーい♪

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△ロープうぇーい♪ なんとなくウキウキするよね。


妙なテンションで楽しく出発すると、眼下一面、海、海、海。
そっかあ、ここは、「海からいきなり山」なんだ。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

△山と海のあいだに、まちが、ない!


なるほどね、それで都会っ子の光源氏は、まち(と女の子)を求めて、明石に移ったんだな。
「あのさ~なんかすげー嵐の夜さ~超こわかったんだけど~夢枕に~明石の入道が現れて~」とか、適当な理由つくって。

日本, 兵庫県神戸市須磨区

とか考えているうち、山上駅に到着。所要時間、3分。


そこから……なにこれ。



次回(中編)に続く・・・

次回『「エイリアン・トリップ vol.07」 公認DIGGER 湯川カナと、ネパール出身の山岳ガイド・シェルパさんによる須磨区・須磨浦レポート・中編です!』

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この記事を書いたDIGGER

湯川カナ

湯川カナ

早稲田大学在学中にYahoo! JAPANの立ち上げにかかわるも、数億円になったはずのストックオプションの権利を返上。
突然、言葉もわからないスペインへ魂の逃亡したところ糸井重里氏に見出され、「ほぼ日」への連載を開始。

10年後、こんどは神戸に移住し、「生きる知恵と力を高めるリベルタ学舎」をスタート。
「誰もがまるごとの自分で生きられる社会を!」と、アミーゴたちと今日も革命話。

近著に『「他力資本主義」宣言-「脱・自己責任」と「連帯」でこれからを生きる』(徳間書店)
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