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「エイリアン・トリップ vol.03」 公認DIGGER 湯川カナ、スコットランド出身のグレアムさん、イングランド出身のデイヴィッドさんの三人による灘区・水道筋商店街レポート・特別編「灘中央市場」前編です!

湯川カナ

灘中央市場

「灘区・水道筋商店街レポート」後編の前に、特別編「灘中央市場」を、前編・後編の2回に分けてご紹介します!

灘中央市場 前編>

水道筋のメインストリート「エルナード」の一本北、ちょうど平行するかたちで、「灘中央市場」がこっそり連なっています。

汗かきえびすの角を北にあがると、東側に「灘中央市場」の看板。
入り口のお店はシャッターが閉まり、ここに入ってもしょうもなさそうな雰囲気がします。
しかーし。

ちょっと勇気を出して入ってみると、すごかった。
生鮮食品のワンダーランド「灘中央市場」の、はじまりはじまり~♪


【灘中央市場/[%http://diiig.net/lw/14079/%]】

灘中央市場

△精肉の土居商店は、西側から灘中央市場にはいってすぐ


西側から灘中央市場に入ってすぐのところにある、ウェスタン・スタイルの精肉店。
なぜだ! なぜみんな、ストローハットかぶってるのだ!?

灘中央市場

△こちらが4代目ご主人。帽子も言い出しっぺ。キャップの時代もありました


「ふつうのお肉やさんの帽子じゃ、おもしろくないから」という、一見真っ当そうだけどけっこうファンキーな理由を教えてくれたのは、四代目のご主人。
お店が創業された年は……「さあ?」
なんせ、戦争のときには、爆撃かなにかで歪んだ店舗を、みんなでもちあげて直したという話が伝わっているそう。
ショーケースの奥では、妙にイケメン揃いお兄ちゃんたちが、帽子のつばをピクリとも動かさずに、見事な手つきでせっせと肉をさばいています。

灘中央市場

△お客さんがなんだか店内の奥まで入ってきます


そして、有馬温泉のレポートでも書きましたが、神戸には、美味しい肉屋さんはお店の一画で揚げたてのコロッケやメンチカツを売っている、という暗黙のルールがある。
もちろん土居商店もしかり。
「ここで揚げるの? ワオ!」 グレアムとデイヴィッド、びっくり。

灘中央市場

△コロッケあげたて


コロッケは、学校帰りのこどもたちのおやつとしても、大人気。
そして、お店の向かいには小さなベンチがあり、お隣のお店では冷えたビールを売っているのでした。
カンペキ。

灘中央市場

△ちなみにフィッシュ&チップスは油が悪いから包み紙がべっちょりになるそう。ここは油もイイネ!


もちろん、揚げたてのコロッケは、うーまうま。
グレアムは、「フィッシュ&チップスはだいたい油が悪いから包み紙が油でべとべとになるのに、ここのは違う!」と、フライ文化圏ならではの感動をしていました。

ほかにも、ローストビーフから焼き豚まで、うまそなお持ち帰りメニューがずらずら。
「うちの近所にあれば……」と旅先でつい言ってしまう、いきなりそういうお店でした。


【灘中央市場/花かつを・だし・[%http://diiig.net/lw/14080/%]】

灘中央市場

△小山のような削り節が雪崩を起こしそうなほど並ぶ


市場を西に進むと、軒先に「しあわせ」みたいなふわふわがあふれているお店が。
おかみさんがザルをばさーっとひっくり返すと、あたりにカツオ節のいーい匂い。
おかみさんはそのまま奥に戻り、古いミシンみたいな台の後ろでカツカツ音をさせはじめました。
お、カツオ節を削ってるんだ!
足を止めて見入っていると、「見ますか? 中、どうぞー」

灘中央市場

△機械のうえには、よく燻製された、一本丸ごとのカツオ節


おー、まじかー。
すみませーん、と、大きな男ふたりと、乾物の山のあいだを、奥へ。

「これ、おトウフの上にのっているもの?」
そうですよ、ディヴィッド。「あと、”出汁”ってわかる? あれって、だいたいこのカツオ節が材料なんだよー」「へー!」
日本のダシの味は慣れたふたりも、花カツオをつくるところは初めて見ます……って私もだ!

灘中央市場

△ふわふわの削り節が、馥郁とした香りを漂わせながら出てきます…そう、文学的なまでにw


3人であまりに感心して見ていると、おかみさんが「いやー、それやったら、お父さん呼んで来るわ」と、止める間もなくさらに奥へ。
そうして、今朝の削り分を終えて休憩中だったボスキャラ……もとい、お父さんが出てきたのでした。
そういえば市場って、2階が住居とかなんだっけ。

灘中央市場

△何十年物という古い機械をあけてくれました。おお、鋭利な刃が!!


御年77歳。キジュですよキジュ。
古いミシンみたいな機械は何十年物かわからない、けど、14枚の刃は毎日手入れしとるよ。
ということで蓋を開けてくれました。たしかにピッカピカ。

灘中央市場

△グレアムとディヴィッドもカツオ節大好き。そうか、冷や奴にのってるのはこうやってつくられてたのか、と


スイッチを入れると、足元から、ふっわふわの削り節がどんどん出てきます。
「どうぞ食べてみて」 削りたてを少し取ると、「そんなちょっと(笑)」と、ばさっと手にのせてくれました。
うん、うまいよー!

なんかね……こうしてあたたかく接してくれるご夫婦の出汁がしみこんでいるのかと思うような優しい美味しさなのだよね、イノシン酸だかイノシシさんだか知らないけどさ。
うえーん、おかーさーん。

灘中央市場

△カツオ節サバ節うるめ節に各種イリコに昆布に卵だワーイワイ


店先にはこうして毎朝削られるカツオ節にサバ節にウルメ節に各種煮干しに昆布に……が、山盛りに並んでいるのでした。
市場ってあたたかいなあ。

ちょいとぐすんとなっていると、グレアムが「ちょっとトイレ」。


【灘中央市場/トイレ】

灘中央市場

△トイレ表示の奥は…まじか! おーい、デイヴィッド、通れる?


芦谷商店のすこし東に、たしかにトイレの表示がありました。私も行こう。
ここから奥? のぞいてびっくり。
いやいや! 狭すぎでしょ!!

前を行くデイヴィッドがぎりぎり。
その後に私……この3ヶ月で3キロ太ったから、なかなかやばい!

そして、ゴールのトイレ内でUターンし、市場へと戻るグレアムを見送ります。

灘中央市場

△途中に謎の突起があるのがよくわかります。わざとつくったのか?


なんでもこの「灘中央市場トイレダンジョン」、近隣の飲み屋で一杯気分になったお客さんが「トイレに行ってくるわ」と出たまま夜中じゅうお店に戻って来れずに行方不明になった事件も頻発したという噂。

市場内に、いくつかあるそうです。
あー、びっくりした!


(灘中央市場 後編につづく)

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灘中央市場について

大正14年にできた、灘区の歴史ある市場。細い通路の両側に店が連なる、昭和の雰囲気が漂う。【アクセス】・阪急「王子公園」駅より東へ400m(徒歩約10分)・「水道筋3丁目」バス停より北へ徒歩約1分 続きを読む

この記事を書いたDIGGER

湯川カナ

湯川カナ

早稲田大学在学中にYahoo! JAPANの立ち上げにかかわるも、数億円になったはずのストックオプションの権利を返上。
突然、言葉もわからないスペインへ魂の逃亡したところ糸井重里氏に見出され、「ほぼ日」への連載を開始。

10年後、こんどは神戸に移住し、「生きる知恵と力を高めるリベルタ学舎」をスタート。
「誰もがまるごとの自分で生きられる社会を!」と、アミーゴたちと今日も革命話。

近著に『「他力資本主義」宣言-「脱・自己責任」と「連帯」でこれからを生きる』(徳間書店)
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