「エイリアン・トリップ vol.03」 公認DIGGER 湯川カナ、スコットランド出身のグレアムさん、イングランド出身のデイヴィッドさんの三人による灘区・水道筋商店街レポート・後編です!
オラ! 神戸エージェントのカナより、灘区・水道筋商店街レポート(後編)です。
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△「せんびきや」と読みます。デイヴィッドはお腹が空きすぎた?
江見さんが朝、スマホをのぞき込んで、「えーっと、今日のサービス定食は、カツ玉、もやしのみそ汁、ライス」と教えてくれました。
毎日、ツイッターで、画像付きでメニューを出している千疋屋。
https://twitter.com/senvikiya
△本日のサービス定食600円
カナはこのサービス定食、グレアムはチキンカツ定食、デイヴィッドはクリームコロッケ定食を注文。
そういえば、カツは「洋食」というけど、あの目の粗いパン粉をつかってサクッと揚がったのは、たぶん「日本食」。
スペインでも「フリット」はあったけど、それとは違うものね。
しかも揚げるのシーフードだし。イギリスのフィッシュ&チップスもそうでしょう?
デイヴィッドもグレアムも、「日本の」トンカツやチキンカツ、だーい好き。
さらに千疋屋では、たっぷりの本格洋風ソースがかかってました。
うん! すごく美味しい。
でも、席はカウンターだけやし、料理をつくっているお父さんはスキンヘッドやし、お母さんは忙しそうやし……ということで、しばしおとなしくパクパク。
お腹いっぱいになったところで、お話を聞きました。
△話せばめちゃくちゃ気さくなお母さん。また来るね!!
毎日ツイッターで情報を出しているお母さんは、満州生まれの台湾の方。
20歳から灘区に暮らして……もう何年かは内緒ですが、喋ると実はめちゃ気さく。
△テールシチューやポークチャップ、昭和の洋食屋さんだ
お父さんは、創業64年になる千疋屋の二代目。
釣り道具を商っていた祖父が「千匹釣れるように」とつけた屋号が「千疋屋」。
やがて日本郵船の外国航路で厨房に立っていた父親が、その腕を活かして洋食屋をオープン。
それを継いだのが、お父さん。
テールシチューやポークチャップという定番メニューとレシピは、開店以来ずっと守り続けているそうです。
マヨネーズもドレッシングも、当時と変わらず、いまも毎朝すべて手作り。
ザ・洋食!
△席はカウンターだけ
華やかなりし神戸のハイカラ文化に思いを馳せちゃいますぜ、ほんと。
お父さんの夢は、この千疋屋が100年続くこと。
そのために、阪神大震災後に再建するときにも、以前と同じカウンターだけの小さな店にしたのだそう。
はやるものは、いつかすたれる。
大きくすれば、きっといまのすべて手作りのレシピを守れなくなる。
だから小さいままで、お客さんのみんながお父さんの手元をのぞき込めるような距離感をたいせつに、お店を続ける。
△百年続きますように
「三代目の息子は大阪行ったから、わしが100年目まで頑張るしかないなあ。頑張れるかな?」
うん!!!
だってほら、お店の壁には、「これからもおいしい定食お願いします!」という常連さんからのメッセージが。ね。
あー、お腹いっぱい。
胸いっぱい。
美味しかったでーす! 今度は、水道筋キッズの憧れ・ポークチャップを食べにこよう。
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△あーお風呂でサッパリした……ーい!
水道筋をずっと東に行くと、灘温泉。
天然温泉なのだそう。
汗だくだし、入り……たかったけど、金髪のヅラ、もとい、地毛のことなどを考えて断念。
グレアムとディヴィッドに頼んで、サッパリした風の、やらせ写真を撮ってみました。
△さすり観音。想いを込めてね!
玄関横に、つらいところを治す「さすり観音」があったので、チャレンジ。
△足を骨折したグレアムは患部を
骨折したグレアムは足を、そして「お前は本当に痛い奴だ」といろんな意味でよく言われるカナは頭を、ごしごし。
よくなりましたでしょうか。
すでにそのあたりが痛いでしょうか。
どうなのでしょうか。
やぱり痛いでしょうか。
いかがでしょうか。
△いろいろ「つらいねー」と言われるカナは頭を
ちなみに昔は水道筋に、あと何軒か温泉があったそうです。
映画館も、いくつか。
いまも活気があるのだけど、「いやー、こんなもんじゃなかった!」と、昔からのひとが口を揃えて言います。
なんでも、スリが多かったそうなんですよ。
というのは、すれ違うのも大変なくらい、混んでたから。
ふえー!
こちらの灘温泉、元旦の「初風呂」スポットとしても人気です。
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△あかちゃ家
行列のできるかき氷のお店。
奥には畳の座敷席。昭和モダンなかんじです。
そう! 水道筋、「昭和」なんです。
でもそのままじゃなくて、昭和がモダンだったころの昭和。
ちょっと個性の強いおっちゃんたちが、まちをうろうろしてて。
買い物や外食や洋服買うのまで、くらしと地続きで。
「オールウェイズ水道筋の夕日」……と思いついてほくそ笑んでいたら、すでにそんな企画も実施済みだったのでした。
がちょーん。
うんじゃらげー。
あっちょんぷりけー。
あかちゃ家のオーナーは、美人姉妹。
でも写真にうつるのは苦手。
ということで、美人姉妹の手によるかき氷の写真から、ぜひその姿を想像してください。
△国産レモン
彼女たちもまた、「伝説の西灘村長」と言われる、水道筋の名物男・慈(うつみ)憲一さんに会いたくて、この場所に店を出したのだといいます。
噂に伝え聞く彼の特徴は、「髪がすごい天然パーマ」。
開店してずっと、毎日、「髪が天パのひと、来ないかな?」と思っていたそう。
そんな話が、ストンと納得できる、不思議な魅力にあふれたまちです。
△国産レモンにオリジナルココナッツシロップに~
もちろん、かき氷は、もんのすごーく美味しかった!
国産レモンの氷や、黒みつ、オリジナルのつぶつぶいちごなど。
△ とうふクリームパフェ
学校帰りの女学生たちも連れ立って来ていていて、なんだか昭和の甘味処でした。
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これで、水道筋の旅は終わり。
8つの商店街と4つの市場からなる水道筋は、現在、お店の数が約500(!)
シャッター通りとなって寂れていく商店街が多いなかで、交通アクセスも正直そんなよくないのに、「ちょっとした三宮」くらい人通りがあります。
お店もひともガラパゴス化して、なにか、えもいわれぬ魅力がありました。
ひとつひとつの商店に、とってつけたのではない、内側から滲み出るような個性がある。
どこから滲み出ているかというと、たぶん、「ひと」なのですよね。
なんだかみんな、すっごく楽しそうに、「そこ」にいるんです。
本当はよそと同じようにシャッター化してもおかしくない厳しいジャパンの現実があり、さらに夫婦ケンカだってするだろうし、後を継ぎたくない息子との確執も当然あったりするだろうけど、でも、それでも、やっぱり楽しそうなの。
ひとも、ものも、かけがえのない存在として、そこに、ある。
その、日本で失われた「いきいきとした市井のひとびとのくらし」を感じるから、あたたかく、懐かしく、うれしいのかな。
……などと話ながら駅まで戻ってくると、阪急王子公園の高架下に、「水」のロゴが。
新しくオープンした、噂の観光案内所。
「開いているかわかんないですよ~」と江見さんからきいていたのだけど、開いていました!
△開いているとラッキー?水道筋観光案内所。中央は名物男MJ
「こんにちはー」と声をかけると、
「お!」
ハンチングをかぶった男性が、なにやら資料をひろげて作業をしていた奥から出てきました。
MJさん。ライター・編集者にして、ソウルシンガー。
3ヶ月くらいかけて水道筋のみんなで手作りでつくりあげたこの観光案内所の、番人。
取材などで不在のときは、案内所が閉まっています。
元新聞記者で、地元を知り尽くすMJさんに訊けば、どんなガイドブックにも載っていない活きた情報を教えてもらえます。
阪急王子公園に降り立ったら、まずはこの駅の高架下の案内所を覗いてみてください。
開いていれば、ね!
……っていうか、観光案内所って、若い女性がいたりするんちゃうん~。
いきなり、クセがありすぎる、めっちゃ素敵なおっさんがお出迎え。
そのあたり、やっぱり、どこまでも水道筋なのでした。
△日本屈指の動物園がありながら特急が止まる気配もない阪急王子公園駅が最寄り駅
朝、水道筋に来るときに、グレアムとディヴィッドと熱く語っていたのは、「ダイバーシティ(多様性)ってなんだろうね?」という話でした。
わざわざダイバーシティなんて言わなくても、人間はもともと多様なのだから、本来はそれを認めさえすればいいだけの話。
頭がバカだからついついズルして、「ガイジンだ」「障害者だ」とラベルを貼って単純化してそのグループを見てしまうのだけど、そういうのやめればいいんだよね。
どうやったらそれができるかというと……。
△おつかれパンダのイラストも、どこかおっさんぽいのが、水道筋テイストでしょうか
“The best way to get rid of the labels is to focus only on each individual.”
目の前のひとの個性だけを、しっかり見つめればいーんじゃないの?
そんな朝の会話の、まさに答えが、この(なんにもないはずの)NADA区水道筋にありました。
変なひとばっかり(笑)
素敵なひとばっかり!!!
サンスクリット語の「波動」、琉球のことばの「涙」……生き物の、震えるような実感が、ワーンと優しくこだましていました。
そこに、ひとが集まってくるのかな。
シャッター商店街と化していく、ひとがつまらなさそうに「作業」に従事する全国チェーン店ばかりが目立つまちへ、水道筋で受け取ったメッセージを伝えます。
All you need is love.
愛こそがすべて、だぜ!!!
△パイ山の中心で叫んじゃいましたよ!「愛こそがすべて」
というわけで通称「パイ山」ことサンキタアモーレ広場、訳すと「愛の広場」の中心で、グレアムとディヴィッドと一緒に愛を叫んで、本日のミッション終了~!
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