安土の旧伊庭家住宅は、映画ロケ地としても人気の和洋折衷のヴォーリズ住宅!
織田信長のお膝元、安土駅から南へ徒歩7分。ひときわ目を引く大きなお屋敷が「旧伊庭家住宅」です。
この建物は、大正2年(1913年)に建築家ヴォーリズ氏の設計によって建てられ、当時では珍しい洋風の外観を持ちながら、巧みに和風を取り入れた貴重な構造物。
京都アニメーション制作のアニメ「中二病でも恋したい」のモデルにもなっています。
写真の玄関は、北側にある入母屋造りの和風玄関。
この玄関と主体部から構成されており、煙突が3つもあります。
こちらは縁側のある和室の南側
縁側から東側に続く洋室の南側
ここに住んでいたのは伊庭慎吉夫妻。父である、旧住友財閥の総理事伊庭貞剛が発注し、四男の伊庭慎吉が結婚後移り住みました。慎吉は、学生時代、絵画の勉強にフランスに留学していたこともあり、画家、歌人、俳人等と交流が深く、しばしば邸宅が友人のアトリエになっていたそうです。また、慎吉は、八幡商業学校の美術の教師や、佐佐貴神社の神主、2期にわたり安土村村長に就任したこともあり、安土にとてもゆかりのある人物です。
和風玄関を入り、南側のお庭の見える洋室のサンルームへ。
「気持ちい~」それが私の第一印象です。
ここからは美しい庭が見え、透明なガラス、すりガラス、色ガラス、いろいろなガラスから入ってくる
光の入り具合が絶妙で、とても心地いい。時を忘れてしまうような感覚に陥ります。
1階には和室が5つと洋室が2つあります。
サンルームから洋室へ。写真の上の窓をご覧ください。なんだか変に思いませんか?
普通なら下まで細い木が通っているのが当たり前ですが、途中でカットされています。
これは、光がたくさん入るようにとヴォーリズが設計したもの。
人に優しい設計ですよね。洋室のテーブルも椅子も100年を超えたもの。
この部屋でどんな語り合いが行われていたのでしょう。
提供:滋賀ロケーションオフィス
この洋室ではTV朝日のメイド刑事の撮影が行われました。
ミステリー作家の住むお屋敷という設定だったそうです。
洋室内北側には暖炉があります。洋室から台所への廊下へ続く扉は、内からも外からも続く両開き。
ヴォーリズは動線をとても考えた設計をしています。
1階廊下です。
天井を見て!ここも手がこんでます。
廊下を渡り、「ジャパニーズゲストルーム」と設計図に書かれている和室へ。
和室は、秋の月見を描いた襖絵が。すすきの穂は銀で描かれているので、光の加減で輝いて見えます。その裏側は春の菜の花が描かれています。
床の間には最近、発見されたという慎吉自身が書いた掛け軸がありました。
よく見たら骸骨が花魁の着物を着て歩いている絵です。
「花のかほ雪のはたへも はなれや貴方は 迷ふ色も香もなし」と書いてあります。
慎吉はいくら外見を飾っても、内見はみんな同じ骸骨なんだよということを
伝えたかったようです。
父貞剛から息子慎吉へ送られた、著名な書家の額も飾られていました。
これは、花頭窓といわれるデザインの窓。窓の形が釣鐘になっています。
縁側から見る庭の風景も素敵ですよ。
2階は洋室がメインです。
堀北真希&成宮寛貴主演の「妻と飛んだ特攻兵」【2時間ドラマ】で、
青森の写真館としてロケが行われた洋室。
特攻に行く前の夫婦の記念写真を撮った部屋です。
ここは写真館としてもぴったりな雰囲気。(二人とも引退されましたが)
洋室にある風景画は慎吉の書いたものです。
こちらがドラマのポスターです。
もう一つ、特筆すべきは、ヴォーリズが設計した洋室北側の窓。
隠し十字と言われ、十字架模様になっています。キリスト教伝道にも力を入れていた事が伝わります。
2Fの書斎。
「百年の計、我にあり」というドラマで石黒賢が、慎吉の父伊庭貞剛役を演じたドラマでも、
この部屋が使われたそうです。伊庭貞剛は明治産業維新のリーダーでした。
ヴォーリズと、伊庭家の人々はどんな話し合いで、この邸宅に斬新なアイディアを詰めこんだのでしょうか。
なんと水洗トイレまであったそうです。(女中さんが水を流していたそうです)
提供:滋賀ロケーションオフィス
写真では、セットがあるのでどの部屋かわかりにくいですが、NHK BS-hi「わたしが子どもだったころ 衣装デザイナーワダエミ」のロケも旧伊庭家住宅で行われました。裕福な家庭に育ったけれど、心は寂しかった子供時代の様子が写真から伝わりますね。
今、市の指定文化財の旧伊庭家住宅を2013年8月1日から常時公開し、運営しているグループが、
オレガノ。平成25年に100年を迎えた建物です。
現在無料で公開していますが、少しでも長く存続するための寄付を募っています。
お正月やお花見、いろいろなイベントをこの場所で行っているそうです。
まだまだご紹介しきれないポイントがここにはたくさんあります。
見どころ満載の旧伊庭家住宅、皆様もぜひ見学に行ってみてくださいね!
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