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彫刻家で「Love Stone Project」主宰の冨長敦也が世界中で感じたお話 vol.05「宇部市・ときわ公園編」

Tominaga Atsuya

ときわ公園/ふじ

彫刻家の冨長敦也です。今日はこのブログを書き始めるきっかけになった、山口県宇部市の「ときわ公園」のお話です。今までこのDIGで、世界各地でハートを磨くLove Stone Project を通じてNYと大阪・塚本について書きましたが、そのLove Stone Projectは2年前に、この公園で産声を上げました。
それまで僕にとっては、なんでもなかったこの公園が、ふるさとのようにとても身近で大切な場所になるなんて人生には、こんな不思議なことがあるのですね。数えてみたらこの2年間で、30回近く訪れています。
皆さんはご存じですか?宇部市は現代彫刻のコンクールを世界で一番長く続けている町ということを。そのコンクールは「UBEビエンナーレ」。以前は「現代日本彫刻展」という名前でした。
ビエンナーレという言葉は、きっといろいろなところで最近よく耳にすると思うのですが、隔年で行うという意味なんですよ。今年がちょうど第26回の開催年だったので50年以上続いているということになります。
このビエンナーレの舞台が「ときわ公園」なんです。

ときわ公園/ふじ

Love Stone Projectがこの公園で生まれたのは、前回の第25回UBEビエンナーレで大賞をいただいたことがきっかけとなりました。
ときわ公園に展示する作品を募集するこのコンクールは、まず10分の1の大きさの模型(マケット)で作品を応募します。第25回では海外も含めて300点以上の作品の応募がありその中から18点の作品が審査により拡大制作をするために選ばれました。その作品を10倍に拡大して制作し、この公園の会場に展示され、再び審査を受け、光栄にも大賞をいただいたのが、作品「Our Love」です。初めてLove Stone Projectで制作した作品となったのです。

ときわ公園/ふじ

「Our Love」は、3つのハートからなります。それぞれ3トン近い石のハートで赤はイラン・黄は旧ユーゴスラビア・白はイタリアで採れたトラバーチンという石です。それをそれぞれ学びの森くすのき(宇部市立の図書館)・ときわ公園(ビエンナーレの会場) ・大阪教育大学で500人以上の方と磨きました。

ときわ公園/ふじ

この大賞を記念して今春、公園にあるときわミュージアムでLove Stone Projectの展覧会「冨長敦也のハートボイルド-世界をつなぐ未来の彫刻」展が開催されましたが、キックオフイベントでその後には世界各地120点になる最初のハートを磨いたのもこの公園でした。

ときわ公園/ふじ

キックオフイベントでは多くのちびっこと磨きました。


ときわ公園/ふじ

ときわ公園は、面積約200ヘクタールにも及ぶ大きな公園で。東京ドーム、約40個分の大きさになります。大阪でいうと服部緑地とだいたい同じ、万博記念公園の約半分になります。でもこの二つの公園と大きく違う魅力は、公園の中心に大きな湖があることです。

ときわ公園/ふじ

常盤湖。
この大きな湖は、灌漑湖といい江戸時代に農作物のために人の手でつくられた人口の湖です。でも今ではまったく自然の湖に見える、豊かな緑に囲まれた雄大な佇まいです。
水辺の周辺を囲むように広がる自然は、四季を通じて魅力ある風景として移ろい、「日本の都市公園100選」「さくら名所100選」「美しい日本の歩きたくなるみち500選」にも選ばて、訪れる人に潤いとやすらぎを与えてくれています。
湖を背景に彫刻作品が映えるエリアに「UBEビエンナーレ」の会場があり、その近くには、素敵なカフェレストランや室内の展示場、ミュージアムや植物園があります。


ときわ公園/ふじ

さらには、なんとこの公園には動物園と遊園地があるんです。
ときわ動物園は、現在整備中ですが、その中「アジアの森林ゾーン」がこの春にオープンしていて、沢山のお客さんでにぎわっています。

ときわ公園/ふじ

動物の住むエリアだけではなく園全体で自然を大切にしている動物園で、コンクリートで出来た都市部の動物園には決して無い魅力が満載です。特に動物を囲むフェンスには工夫がされていて、出来るだけ身近に観察できるように、フェンスを使わず池で範囲を限定したり、ネットの太さや形状までが細やかに考えられています。まるで動物園にいることを忘れてしまうくらいです。
人にも動物にも等身大の心地よさが充満している空間です。

ときわ公園/ふじ

ときわ遊園地も市民に愛されるあたたかい遊園地です。大観覧車がゆるーりと回り、ダンボが園内を一周する遊園地は、ディズニーやユニバーサルスタジオを知らない子ども時代のぼくが、イメージしていた遊園地そのものです。
一種レトロな雰囲気が、訪れる人の心をワクワクさせます。
現在、この遊園地では、恒例の冬のイベント「TOKIWAファンタジア」が開催されています。これは全国でも珍しい市民参加型のイルミネーションイベントです。
子どもから大人まで、いろいろなグループ・団体が集まり、ペットボトル等で思い思いの造形を行い、そのオブジェが宇部の夜空に燦々と輝いています。

ときわ公園/ふじ

これまでのLove Stone Projectでは、宇部をはじめ世界各地の人たちに、メッセージを書いていただきましたが、それを、ペットボトルの中に一枚ずつ丁寧に入れ、みんなの思いをひとつのハートとして造形をしました。そしてそれがひとつの輝きになり、ときわ公園から世界を照らしているのです

ときわ公園/ふじ

世界のメッセージをペットボトルの中に

ときわ公園/ふじ

ワークショップのみんなもドキドキ

ときわ公園/ふじ

高さは2.5mとかなり大きい

ときわ公園/ふじ

遊園地での設置作業もみんなの力で

ときわ公園/ふじ

そして点灯・・・・・・TOKIWAファンタジアは、2016年1月11日まで開催中

ときわ公園/ふじ

Love Stone Projectは現在、水面に小さな石をちゃぽんと落とした波紋が、徐々に遠くに広がるように、世界各地に広がっています。
その♡の波紋の中心がこの常盤公園です。
波紋が遠くに広がれば広がるほど、この公園での思い出を大切にしたいと思います。
ぼくにとって、かけがえのない公園になりました。

ときわ公園/ふじ

ときわ公園に集まった世界で磨いた120個のハート



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冨長 敦也 / Atsuya Tominaga
彫刻家 / Sculptor
世界各地の人と、ハートの石を磨くプロジェクト「Love Stone Project」主宰

1961 大阪市生まれ
1986 金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科 絵画彫刻専攻修了
1988 大阪中之島緑道彫刻公募にて受賞(大阪府)
1990 第3回三田彫刻コンペティションにて特別賞受賞(兵庫県)
1997 (財)ポーラ美術振興財団在外研修助成を受けイタリアにて滞在・制作
1998 神戸学院大学創立30周年記念モニュメントコンクールにて一位指名(兵庫県)
2013  LongHouse Reserve(NY)に作品がコレクション
     Love Stone Projectを開始
     第25回UBEビエンナーレ[現代日本彫刻展]にて大賞受賞(宇部市)
2014 「冨長敦也のハートボイルド展 世界をつなぐ未来の彫刻」(ときわミュージアム 宇部市)

     NY・パリ・イタリア・東京・大阪等 国内外で個展開催

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