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開国への潮流 ―開港前夜の兵庫と神戸―


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平成29年(2017)8月5日(土曜日)〜9月24日(日曜日)《44日間》

開館時間:
10時00分〜17時00分 (入館は閉館の30分前まで)

休館日:
月曜日[ただし、9月18日(月曜日・祝日)は開館]、9月19日(火曜日)

18世紀半ばから19世紀半ばまでの1世紀は、軍事力を伴いつつ「開国」を迫る欧米諸国と対峙しながら、日本が新たな国際関係に歩みを進める模索の時代でもありました。神戸開港は、その集大成の一つといえるでしょう。安政5年(1858)に欧米諸国と締結した通商条約によって兵庫(神戸)は箱館、神奈川(横浜)、新潟、長崎とともに開港場に選ばれます。しかし箱館、横浜、長崎の開港に伴う国内経済の混乱や尊皇攘夷(そんのうじょうい)運動の隆盛、朝廷の猛烈な反対により開港は困難な状況となり、条約締結国との交渉で5年延期されることとなりました。ただ、この延期によって兵庫と神戸の港は、畿内の政治的地位が急速に高まるなかで、幕府海軍の拠点、幕府直轄港に位置づけられ、近代化が進められていきます。そして、これが開港後の神戸の発展に結びついていくのです。本展では、当時の国際環境や政治・外交に照らしながら、約100件の資料を通じて、開国、そして神戸開港にいたる歴史的潮流をたどります。

《将軍天保山入港(無題)》
元治元年(1864)五雲亭貞秀

神戸市立博物館

将軍徳川家茂(いえもち)の上洛に蒸気艦隊を利用することは、文久3年(1863)の第1回上洛時から計画されていました。この時は、生麦事件の勃発によりイギリス軍が横浜港を封鎖したため実現しませんでしたが、受入港となる兵庫では、石炭の調達ルートの確保や保管蔵の整備など準備が着々と進められていきました。元治元年(1864)の第2回上洛では、勝海舟が編成した11隻に及ぶ艦隊が用いられており、本図は天保山沖まで入港した将軍の御召艦(おめしかん)を描いたもの。上洛艦隊はこの後、兵庫港に入港し、多くは将軍が畿内に滞在する5ヵ月間にわたって、この地を駐留基地とすることとなります。

★神戸市立博物館フェイスブックページはこちらです★

会場の神戸市立博物館の所在・交通



★★報道関係の皆様へ★★
開会式や記者内覧会の日程、展覧会広報のための作品写真の掲載・提供は、
記者提供資料をご覧ください。
出品点数約100件
※出品目録はこちら

プロローグ Far Eastに到達した欧米世界

《世界図 MAPPE MONDE》1790年頃

守屋壽コレクション・提供 広島県立歴史博物館
フランスの軍人で探検家のラ・ペルーズが1785〜88年に行った探検航海の成果を盛り込んだ世界図。欧米諸国による探検航海の目的のひとつは、地図に描かれない土地の「発見」とその領有にありました。 19世紀の国際環境と対外認識

《レザノフ屏風》
文化元〜2年(1804-05)頃

守屋壽コレクション・提供 広島県立歴史博物館


18世紀半ばにカムチャッカまで到達したロシアは、日本との交易にも目を向けるようになっていきます。
寛政4年(1792)にはラクスマンが長崎に来航し、幕府より長崎への入港許可証となる信牌(しんぱい)を得て帰国。文化元年(1804)にはレザノフがその信牌を携え、通商開始を求めて長崎に来航しました。彼は幕府から回答を得るために半年にわたり長崎に滞留しましたが、幕府の判断は通商を拒絶するというものでした。この屏風には彼が長崎を去る直前の3月10日の日付や署名があり、彼の肖像のほか、使節の持物、受取を拒否された将軍への献上品なども描かれています。 ペリーとプチャーチン 〜新たな国際関係の模索〜

《天保山魯船図》
嘉永7年(1854)頃

神戸市立博物館

嘉永6年(1853)のペリー率いるアメリカ艦隊の浦賀来航と前後して、ロシア使節プチャーチンは、長崎、箱館を経て、嘉永7年(1854)9月、大坂湾に来航します。彼が大坂湾を選んだのは、天皇の居住する京都に近いこの湾に軍艦で乗り入れることで、軍事的脅威を与え、条約を優位にそして早期に締結することを目指していたためです。この図は天保山沖に碇泊(ていはく)したロシア軍艦ディアナ号を描いたもの。大坂城代土屋寅直(ともなお)は直ちに近隣の諸大名や大坂の蔵屋敷に命じて守備にあたらせ、大坂町奉行らにはロシア側との交渉を指示しました。
軍艦の圧倒的な軍事力を背景に開国を迫る欧米諸国への対応は、幕府にとって重要な政治課題となっていきます。
通商条約の締結と「兵庫」開港

《欧羅巴行視聴実録
(ヨーロッパこうしちょうじつろく)》
文久2年(1862)4月1日〜9月3日

個人蔵・品川区立品川歴史館寄託


安政5年(1858)、アメリカをはじめとする欧米諸国と締結した通商条約によって日本は開国し、兵庫も開港場の一つに選ばれました。しかし先行する箱館などの開港に伴う混乱や、朝廷の猛烈な反対により、兵庫開港は延期されることになりました。
本書はその交渉のためにヨーロッパに派遣された使節団で目付(監察(かんさつ))を務めた旗本京極高朗(きょうごくたかあき)自筆と推定される日記。この交渉により兵庫開港は1868年1月1日まで延期されることが決まります。しかし、この5年間で兵庫・神戸の港の近代化は急速に進められていくことになります。
将軍の上洛と大坂湾の防備
文久3年(1863)5月、幕府は兵庫和田岬、湊川崎、西宮、今津の4ヵ所で台場の築造を開始します。中央に「石堡塔(せきほとう)」と呼ばれる円柱形の石造砲塔を備える構造は、世界の軍事史においては「マルテロ・タワー」と呼ばれ、日本では初めて導入された構造です。しかし、それを実現するために用いられたのは、石工や鋳物師、左官、船大工などが持つ、日本の伝統的な技術でした。
また幕府がこのような台場を築造した背景には、海岸防備の強化とともに幕府の軍事力や技術力の高さを国内外に誇示する意図があったと考えられます。

神戸市指定文化財
《和田岬石堡塔外冑壁之図
(わだみさきせきほとうがいちゅうへきのず)》
慶応2年(1866)12月

神戸市立博物館

港の近代化 ―幕府直轄港としての兵庫の港―

《長崎海軍伝習所絵図》
昭和初期

公益財団法人鍋島報效会 徴古館

本図は長崎海軍伝習所の考証復元図。大坂湾の海図作成の技術的基礎を築いたのは長崎で行われた海軍伝習です。文久3年(1863)1月以降、幕府軍艦方は大坂湾内の測量を行い、5月には近代的な海図を完成させます。これに携わったのが長崎海軍伝習所で学んだ軍艦奉行並・矢田堀鴻(やたぼりこう)(景蔵)や築地の軍艦教授所(のちの軍艦操練所)で、矢田堀らから学んだ軍艦方・甲賀源吾(こうがげんご)などでした。

エピローグ 神戸開港へ 神戸開港の様子は、どのように伝えられたのでしょうか。これはイギリス・ロンドンで発行された絵入新聞。海上から神戸外国人居留地付近を眺めた風景(上)、布引付近から神戸港を望んだ風景(下)を描いた銅版画とともに、「1868年1月1日正午、停泊中のイギリス、アメリカなどの艦船が21発の礼砲を放って祝った」ことを伝える記事が載せられています。
本紙では外国人居留地は、まだ造成中のため、白く表現されていますが、居留地全126区画の永代借地権は同年7月から明治6年にかけて競売され、神戸にやってきた外国人たちの拠点となる異人館の建設が進んでいきます。


《イラストレイテッド・ロンドンニュース》
(1868年3月28日号)

神戸市立博物館


主 催:神戸市立博物館、神戸新聞社、NHK神戸放送局
後 援:サンテレビジョン、ラジオ関西、Kiss FM KOBE
協 賛:日本教育公務員弘済会兵庫支部、みなと銀行文化振興財団

当日券 前売券 団体券(20名以上) 一 般800円700円700円 大学生600円500円500円 高校生450円350円350円 小・中学生300円200円200円
※65歳以上で「神戸市すこやかカード(老人福祉手帳)」持参の方は当日一般料金が半額。
※障がいのある方は障がい者手帳などの提示で無料。
※小中学生で「のびのびパスポート」をお持ちの方は、同パスポートの提示により無料。
※前売券は平成29年6月21日(水曜日)から9月24日(日曜日)まで販売
◆記念講演会
平成29年(2017)8月11日(金曜日・祝日) 14時〜15時30分
講 師:高久 智広(当館学芸員)
会 場:神戸市立博物館 地階講堂
定 員:160名(当日先着順)
※聴講無料(ただし、本展観覧券が必要。当日13時から講堂前で入場整理券を配布します。)

◆記念シンポジウム 「神戸開港と港の近代化」
平成29年(2017)9月3日(日曜日) 13時〜16時
講 師:後藤 敦史 氏(京都橘大学文学部准教授)
添田 仁 氏(茨城大学人文社会学部准教授)
冨川 武史 氏(品川区立品川歴史館学芸員)
司 会:高久 智広(当館学芸員)
会 場:神戸市立博物館 地階講堂
定 員:160名(当日先着順)
※聴講無料(ただし、本展観覧券が必要。当日正午から講堂前で入場整理券を配布します。)

◆サタデー・トーク(学芸員による展覧会の見どころ解説)
会期中の毎週土曜日 14時〜14時30分
会 場:神戸市立博物館 地階講堂
定 員:160人(当日先着順) ※聴講無料(ただし、本展観覧券が必要。)

◆子供向けイベント こうべ歴史たんけん隊《神戸開港当時のおもかげを探しに行こう》
8月20日(日曜日) 10時〜16時
対 象:小学4年生〜中学生(保護者の参加は2名まで)
定 員:40名(応募多数の場合は抽選)
資 料 代:1人500円
◎申し込み方法
・往復はがきに、参加希望者全員のお名前、年齢、電話番号、
返信用のあて名を記入し、下記の申込先へ郵送してください。
申込先:〒650−0034 神戸市中央区京町24番地
神戸市立博物館子供プログラム係
【しめきり】8月7日(月曜日)の消印有効
※「子供むけイベント」については、1枚のはがきで複数イベントへ申し込むことはできません。
◆子供向けイベント ジュニアミュージアム講座《開国のジグソーパズルをつくろう!》
9月9日(土曜日) 14時〜16時
対 象:小学4年生〜中学生
定 員:20名(応募多数の場合は抽選)
参 加 費:500円(参加する子供の入館料は無料。付き添いの保護者の方は、
団体割引料金でご入館いただけます。)
◎申し込み方法
・往復はがきに、参加希望者全員のお名前、年齢、電話番号、
返信用のあて名を記入し、下記の申込先へ郵送してください。
・一度に3名まで申し込むことができます。
申込先:〒650−0034 神戸市中央区京町24番地
神戸市立博物館子供プログラム係
【しめきり】8月28日(月曜日)の消印有効
※「子供むけイベント」については、1枚のはがきで複数イベントへ申し込むことはできません。
南蛮・古地図企画展「絵画と地図で読み解く日欧交流」 会場:3階特別展示室1

この展覧会の出品目録

聖フランシスコ・ザヴィエル、織田信長、豊臣秀吉、徳川吉宗・・・彼らが思い描いてきた世界と日本の姿とはどのようなものだったのでしょうか?特別展「開国への潮流」の前史、16世紀半ばから続く日本と西洋の交流を、館蔵の絵画・古地図でたどります。修理完了後、初公開となる重要文化財織田信長像も展示されます。
※《聖フランシスコ・ザヴィエル像》は8月5日から20日まで展示されます。
※《都の南蛮寺》は9月12日から24日まで展示されます。
神戸市指定文化財指定記念特集展示「神戸外国人居留地の設計図」 会場:1階ホール

平成29年(2017)3月に新指定となった3点の神戸外国人居留地の設計図を、神戸開港150年記念特別展にあわせて特集展示します。

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旧居留地・大丸前駅について

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